
関西エリアで40年以上親しまれている朝の情報番組「おはよう朝日です」(ABCテレビ・関西ローカル月曜~金曜あさ5時~8時)にて、昨年10月より“おきトレのお兄さん”として活躍している永田 海渡さん。頭と体を一緒に動かすことで運動〝脳〟力を鍛えるトレーニングを紹介しながら、毎朝子どもたちに元気と笑顔を届けています。オンエアは100回を超えた今も、緊張と向き合いながら子どもたちに寄り添い続けている永田さんに、毎朝体操を続けることの大切さや習慣化のコツ、シャイだった自分が変わるきっかけとなったご両親の教えなどについて伺いました。
おきトレのお兄さん 永田 海渡さん
2004年2月12日生まれ、京都府出身。大学在学中の2025年5月より、ワタナベエンターテインメントに所属。俳優を目指して活動を始め、現在は演技や歌、ダンスのレッスンに励んでいる。9年間続けてきたバスケットボールが得意で、筋トレなど体を動かすことが趣味のスポーツマン。2025年10月より、大阪・ABCテレビ「おはよう朝日です」エンディングの”おきトレ”コーナーのお兄さんとして活動中。2026年4月より「おきトレ体操教室」での指導もスタートし、活躍の場を広げている。
継続してできたときの達成感を感じてほしい
石井氏
―“おきトレのお兄さん”として活動し始めて約半年経ちましたが、大分慣れてきましたか?
永田氏:番組のオンエア自体は100回を超えましたが、未だに緊張でドキドキします(笑)。でも、見て下さるお子さんや保護者の皆さんに、「このお兄さん、信じていいのかな」と不安に思われるのは避けたいので、心の中ではどんなに緊張していても、顔つきやパッションは元気に明るくいこうと常に意識しています。僕自身、この半年間で、体幹がすごく鍛えられたなと実感しています。“おきトレ”に出てくる“飛行機バランス”やジャンプなどの動きを通じて、これまで鍛えてきた筋肉とは違う、インナーマッスルがぐっと締まるんですよね。もしかしたら、僕自身が視聴者の皆さん以上に鍛えられているかもしれません(笑)。
石井氏
―“おきトレ”では、手と足で違う動きをしたり、出された指示に瞬時に反応するような動きがたくさん出てきますよね。ご自身でもオンエアの前に練習したりするのですか?
永田氏:はい、めちゃくちゃ練習します! 一つ一つの動きそのものはシンプルでも、音楽のリズムに合わせるとか、指示に合わせて左右を変えるなど、いろいろな要素をインプットしてから体を動かすのが難しくて。でも、はじめは難しいなと思っても、続けているとちゃんとできるようになるんですよね。そういう、継続してできるようになったときの喜びや達成感を、視聴者の皆さんにも感じてもらいたいなと思いながら毎朝やらせてもらっています。
石井氏
―スタジオには大人しかいない中で、テレビの向こう側にいるお子さんたちに伝えるというのも簡単ではないですよね。
永田氏:そうですね。テレビを見てくださっているお子さんにどう伝えるか、どういう言葉選びをするかはいつもすごく悩みます。例えば、スタジオにいる大人の皆さんだったら、「体幹を意識して」と言えば理解してもらえますが、小さいお子さんにとっては「体幹って何?」となりますよね。それを「お腹に力を入れよう」と言い換えてみたり。でも、あまりかみ砕きすぎると、「そのぐらい分かるよ」と思われてしまうかもしれないですし。どの程度易しい表現で伝えたらいいかは、試行錯誤している課題の一つです。
番組キャラクターのおき太くんと
教員志望から“おきトレのお兄さん”へ
石井氏
―ご自身はいつから芸能界を目指そうと思っていたのですか?
永田氏:高校生のころから、心の中には芸能界への思いがありました。それと同時に子どもに関わることのできる職業にも興味があり、教師という職業にも同じくらい興味がありました。そんな中で、大学3年生のときに学園祭でたくさんの人の前に立つ機会があり、そこで改めて芸能界という道を目指してみたいと思い、オーディションを受け始めて、大学4年生のときに現在の事務所に所属することになりました。
石井氏
―もともと子どもに関わるお仕事にも興味があったのですね。
永田氏:はい。小さい子と遊ぶのも大好きですし。僕自身が長男で、下に弟と妹がいるんです。弟が2つ下で大学生、妹が8つ下でまだ中学生なので、今でも日頃から一緒にわちゃわちゃして遊んだりしています。なので、“おきトレのお兄さん”として子どもに触れ合える機会をいただけたことが本当にうれしくて。教師という形とはまた違う、別の楽しさがあるなと思っています。
石井氏
―新しく“おきトレ体操教室”も始まりましたが、実際に子どもたちと対面で接するのは違いますか?
永田氏:やっぱり違いますね。子どもたちが一気に集まってくれて、そのパワーや笑顔、やる気を直接感じられるのが何よりうれしいです。実際に一緒に体を動かしてみると、「これは難しいかな」と思っていたトレーニングが意外とできたり、逆に「これは簡単かな」と思っていたものに苦戦する子がいたりして。現場に出ることで、年齢ごとに合った難易度がより具体的に見えてきました。例えば、「前・後ろ」はすぐ理解できるのに、「右・左」になると途端に難しくなる。僕が一緒に動けばできるのですが、言葉だけで「右に飛ぼう」と伝えると、「どっち?」と迷ってしまう子も多くて。子どもたちにとっての“分かりやすさ”を改めて考えるきっかけになりました。
シャイだった少年を変えた両親の教え
石井氏
―幼少期を振り返って、ご両親からよく言われていた言葉などはありますか?
永田氏:「あいさつ」と「感謝」だけは絶対に忘れるな、と子どもの頃から言われていました。未だに覚えているのが、幼稚園の年長のとき。当時僕はフットサルを習っていたのですが、すごくシャイで、コーチから何か言われても返事をしないぐらい人見知りだったんです。それを見た父に、家に帰ってからめちゃくちゃ怒られたんですよ。「コーチに対してちゃんと返事やあいさつをしなさい」と。それから自分でも意識するようにしたら、チームにも馴染めるようになったし、社交的になれた。当たり前のことかもしれませんが、小さい時に親から教えてもらったおかげで自分が変われたという実感があるので、今となってはとても感謝しています。
石井氏
―今子どもたちと接する際にも、挨拶などは大事にしているのですか?
永田氏:はい。体操教室でも、まずは僕から挨拶して、そのあと子どもたちに一人ずつ自己紹介をしてもらっています。でもやっぱり、はじめの挨拶ってすごく勇気がいるんですよね。ですから、中には恥ずかしがって名前を言えない子もいます。そういう子には「じゃあ、まずはお兄ちゃんにだけ名前教えて」と、耳打ちで教えてもらう。それから僕が全体に向けて「みんなも〇〇ちゃんって呼んであげてね!」と言うようにしています。周りの子が名前で呼んでくれると、はじめは恥ずかしがっていた子も「はーい、〇〇だよ~」と答えてくれたりする。なので、そのワンクッションを僕が挟んであげられたらいいのかなと思っています。
石井氏
―“おきトレ”の合言葉でもある「やれば、できる!」というキーワードについては、毎日言ってみてどうですか?
永田氏:この言葉が、僕にとって本当に大きな心の支えになっています。最近、演技や歌の稽古などもしているのですが、できないことも多いし、次々に新しいことを覚えなくてはいけなくて。正直大変だなと思うこともあるんですけど、毎朝みんなに「やれば、できる!」と言っているのだから、自分もやらなきゃいけないなと、良い意味でのプレッシャーになっています。実際に、やってみたら本当にできるようになったことも多いので、すごい言葉だなと。今の自分にとって一番大事な言葉かもしれません。
習慣を作るポイントは見える化
石井氏
―体操でも何でも、毎日続けて習慣にすることが大事だと思うのですが、どうすれば続けられますか?
永田氏:僕自身もそうなんですが、3日くらい頑張ると、それがだんだん当たり前になってくるんです。やらないと逆に気持ち悪いというか、サボると少し罪悪感が出てくる。そのフェーズまでいけると、自然と続けられるようになります。僕がよくやっているのは、カレンダーでもメモ帳でもいいので、できた日に〇をつけることです。目に見える形で頑張りが残るとうれしいんですよね。3日続けて〇がついたら、「あと2日で5日だな」と思えるし、「ここまでやったなら、もう少し続けようかな」となっていく。それが気づけば1週間、さらに2週間と続いていくことが多いのでおすすめです。
石井氏
―親御さんには、子どもたちにどのような声掛けをしてほしいですか?
永田氏:例えば「指先まで伸ばして」と言って、お子さん本人はできているつもりでも、実際にはまだ伸びきっていないことも多いんです。そういうときに、親御さんから「もう少し頑張れるよ!」と声を掛けてもらえると、より良くなると思います。それと同じくらい伝えてほしいのが、「完璧じゃなくていいよ」ということ。「毎日完璧にやらないといけない」と思いがちですが、正直、難しい日もありますよね。大切なのは完璧さよりも「続けること」。今日完璧にできなくても明日もチャレンジする。チャレンジを継続して習慣にしていくことが大切だと思います。そこを優しくフォローしてあげると、お子さんも無理なく続けられるのかなと思います。
石井氏
―最後に、今後の展望などを教えてください。
永田氏:もともと僕は、仮面ライダーに憧れてこの業界に入りました。仮面ライダーって、見ている子どもたちに勇気や元気を与えられる存在だと思うんです。今、“おきトレ”をやっている中で、「かいとお兄さんの体操を見て、今日も元気に学校に行けました」という声をいただくことがあって。そういうときに、ちょっと仮面ライダーっぽいというか、自分がこの世界に入るきっかけになったことを少しは体現できているのかなと。まだまだこれからですが、今後も子どもたちに力を与えられるような存在になっていきたいなと思っています。
イベントの舞台裏にて
(聞き手/株式会社LOCOK代表取締役、金沢工業大学虎ノ門大学院准教授 石井大貴)





