会報誌

全力で楽しめば成長スピードは速くなる 【インタビュー】

カーリング・山口 剛史選手インタビュー(後編)

カーリング

カーリングの男子日本代表として2018年平昌オリンピックに出場し、現在はホームリンクの「軽井沢アイスパーク」でジュニア選手の育成や子供向けの運動教室にも取り組んでいる山口 剛史選手。前月号の前編では、カーリングとの出会いや多彩なスポーツ経験などについて伺いました。今月号では、後編として、運動教室の子供たちに指導する上で心掛けていることや集中力を高める方法などをご紹介します。

全力で楽しめば成長スピードは速くなる 【前編】

山口 剛史さんプロフィール

山口 剛史さんプロフィール

北海道空知郡南富良野町出身。
小学校3年の時にカーリングを始める。
中学からはカヌー、高校からはラグビーにも取り組み全国高校選抜大会に出場するなど、多彩なスポーツ経験を持つ。
カーリングの日本男子として20年ぶりに2018年平昌オリンピックに出場。
2018年、19年にはロコ・ソラーレの藤澤 五月選手とペアを組み、日本選手権2連覇。
力強いスイープは日本で最もパワフルだと評されている。

集中力を高めるカギは「変換能力」

運動教室の子供たちに指導する上で、
どのようなことを心掛けていますか?

軽井沢でカーリング教室を始めた当初から、シーズンオフにはマットや鉄棒などを使った子供向けの運動教室を行っています。僕自身の経験から、一方的に「教える」というより、「一緒に遊んで楽しむ」ことを大事にしています。「楽しい、だから全力でやる」という体験を積み重ねることで、成長スピードが速くなると思うからです。ただ、「遊ぶ」だけではなく「技術」を習得させたい、という親御さんのご要望も多いので、両方のバランスを考えながら取り組んでいます。

「軽井沢アイスパーク」で子供たちの指導

自らも子供たちと「一緒に遊ぶ」という感覚を大切にしている

カーリングは高い集中力が求められる競技ですが、
集中力を身に付ける方法はありますか?

「集中する」ということをあえて言い換えるなら、「夢中になる」ということだと思います。今やっていることが「楽しい」と感じられれば、意識しなくても集中力は上がるはず。とはいえ、嫌だけれどやらなければいけない、ということもありますよね。そんなときは、「これをやれば課題がクリアできて楽しいだろうな」と頭の中でうまく変換して、解決していくプロセスを楽しむ。この変換能力を上げることができれば、どんな場面でも集中できるようになるのではないかと思います。

楽しむことで大舞台でも自然に集中できる

北京オリンピックでも、ロコ・ソラーレの選手たちが楽しみながらプレーしている姿が印象的でした。

もともとカーリングは、強いチームほど感情を表に出さずにポーカーフェイスで戦うことが多いのですが、彼女たちは試合中でも喜怒哀楽を出し、大きな声でよくしゃべっていますよね。そうすることで、どんな大舞台でもいつもどおり自然に集中して戦えるのだと思います。僕自身も藤澤 五月選手とペアを組むようになって、「楽しんだほうが調子が上がるな」と感じるようになりました。

山口選手のスイープ

藤澤 五月選手(右)とペアを組んで試合に臨む山口選手(左)

最後に、読者の方へメッセージをお願いします!

カーリングは、特に恵まれた体格やずば抜けた体力がなくても、戦術を考えるのが好きなら楽しめるスポーツ。今後は、例えば将棋の解説動画のように、カーリングの戦術を解説するようなコンテンツもどんどん発信していこうと思っているので、こうした動画を通じて、多くの人にカーリングの魅力を知っていただけたらうれしいです。

pcfooter画像
pcfooter画像