11月の和名は「霜月」。霜が降り始めるころという意味があります。暦の上で冬の始まりとされる「立冬」を過ぎると、晩秋から初冬にかけての暖かく穏やかな「小春日和」と、寒い日を繰り返しながら寒さが深まっていきます。秋の収穫を祝う酉の市(とりのいち)や、毎年11月23日に宮中や全国の神社で行われる新嘗祭(にいなめさい)など、実りの秋ならではの行事や文化に触れながら、日本らしい秋を感じてみてはいかがでしょうか。
11月の歌
たきび(作詞 巽聖歌/作曲 渡辺茂)
かきねの かきねの まがりかど
たきびだ たきびだ おちばたき
あたろうか あたろうよ
きたかぜ ぴいぷう ふいている
さざんか さざんか さいたみち
たきびだ たきびだ おちばたき
あたろうか あたろうよ
しもやけ おててが もうかゆい
11月の行事
七五三
「七五三」は三歳・五歳・七歳の節目に、子どもが無事に育ったことを祝う行事です。子ども達は晴れ着を着て、長寿の願いを込めて細長い形に作られた「千歳飴(ちとせあめ)」を持ってお宮参りをします。地域による差はありますが、江戸時代には、男女三歳でそれまで剃っていた髪を伸ばし始める「髪置(かみおき)」、男子五歳で初めて袴を着ける「袴着(はかまぎ)」、女子七歳で着物の帯を使い始める「帯解(おびとき)」の行事が行われるようになりました。昔は七五三を祝う日は特に決まっていませんでしたが、将軍徳川綱吉の子である徳松のお祝いが11月15日に行われてから、この日に定められたと言われています。
文化の日
11月3日は「文化の日」です。文化の日とは、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」という趣旨で1948年に制定された国民の祝日です。もともと11月3日は明治天皇の誕生日であり、明治時代には国民の祝日の一つである「天長節」として広く親しまれていました。それが「文化の日」という名称に変わった理由には、日本国憲法が関わっています。日本国憲法は、1946年11月3日に公布されました。日本国憲法が「平和と文化を重視」していたために、11月3日を「文化の日」と定めたのです。現在では、文化の日に文化勲章や各褒章の授与式が行われたり、文化庁主催の芸術祭などが行われるほか、入場料が無料になる博物館や美術館などもあるようです。
11月の自然
次第に寒さが深まる11月ですが、気持ちよく晴れた小春日和には、ぜひ外へ出て身近な自然に触れてみたいものです。童謡「たきび」の歌詞にも出てくる赤や白のさざんか、晴れた日に青紫色の花を咲かせるりんどうなど、目にも鮮やかな色とりどりの草花が心を癒してくれるかもしれません。
さざんか
秋の終わりから初冬にかけて花を咲かせる常緑広葉樹。花色は野生の自生種では白、園芸品種では濃い紅色や白やピンクなど様々である。
りんどう
9月~11月ごろにつり鐘のような形の花を咲かせる。花は晴天の時だけ開き、きれいな青紫色で上向きにいくつも咲く。
なんてん
濃い緑の葉に赤い実をつける、中国原産の常緑低木。日本では縁起物として庭木として植えられることが多い。
きんかん
ミカン科キンカン属の常緑低木の総称。果実は小粒で甘酸っぱく、ほろ苦い後味が残る。のどの薬としても用いられる。