会報誌

童話が変わるいま、親ができる読み聞かせとは?【つくし会コラム】

『桃太郎』は、勇気と正義、仲間との協力を描き、世代を超えて親しまれてきました。世界に目を向けると、『三匹の子ぶた』は努力と計画性の大切さを伝え、今もなお子どもたちに愛される物語です。

しかし、童話は決して「変わらないお話」ではありません。実は、語り継がれるうちに時代や社会の価値観に合わせて少しずつ内容が変化してきました。たとえば、『三匹の子ぶた』の原作では、オオカミは最後に煮えたぎった鍋に落ちて命を落としますが、近年では子どもに恐怖を与えすぎないよう、オオカミが逃げ出す結末に変えられることもあります。『桃太郎』もまた、昔は「鬼退治」が強調されていましたが、最近では鬼を単なる悪者として描かず、和解や共生をテーマにする絵本も生まれています。物語が変化してきた背景には、子どもたちに安心感を与えたいという大人の願いがあるようです。

童話を語るとき、親が「正解」を押し付けないことも大切です。『三匹の子ぶた』を読み終えた後に「あなたならどの家を建てたい?」と問いかけるのも良いでしょう。子どもが自分なりの考えを言葉にすることで、童話は一方通行の教訓ではなく、心を育む対話になります。

世界中で語り継がれてきた童話は、人類の知恵の結晶です。親子で物語を味わいながら、想像力を膨らませてみてはいかがでしょうか。