子どもの鉄分不足による影響とは？

鉄欠乏性貧血は、特に乳幼児や学童期の子どもに多く見られる栄養障害の一つと言われています。鉄は赤血球の主要成分であるヘモグロビンの合成に不可欠なミネラルであり、体内の酸素運搬やエネルギー代謝、免疫機能などに重要な役割を果たしていると言われています。しかし、食生活の偏りや成長期の鉄需要増加などの影響で、鉄不足に陥る子どもは少なくありません。

鉄欠乏性貧血は放置すると、集中力の低下や免疫機能の低下、成長の遅れなどを引き起こし、子どもの発達に悪影響を及ぼす可能性があります。さて子どもたちにどのような影響を与えるのかみていきましょう。

鉄欠乏性貧血とは？

子どもの鉄分不足は、体内の鉄が不足すると正常な血液循環や細胞機能が損なわれるかもしれません。特に「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる状態になると、酸素供給が不足し、さまざまな健康問題が引き起こす場合があります。

貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンの量が正常値よりも低下した状態を指します。ヘモグロビンは酸素を運搬する役割を担っており、その不足により全身の細胞が十分な酸素を受け取れなくなります。その結果、疲労感や息切れ、めまいなどの症状が現れます。鉄欠乏性貧血（Iron Deficiency Anemia: IDA）は、鉄の摂取不足、吸収障害、または過剰な鉄の消費・喪失によって引き起こされる貧血の一種です。

成長期の鉄需要増加：急激な成長により血液量が増加するため、鉄の必要量が増える。

食事の偏り：鉄分を多く含む食品（赤身の肉、レバー、魚、豆類など）を摂取しない。

母乳のみの栄養摂取：母乳は栄養価が高いが、鉄分含有量が低いため、離乳食開始が遅れると鉄不足になる。

消化器系の問題：胃腸の問題で鉄の吸収が悪くなることがある。

過度な牛乳摂取：牛乳には鉄分がほとんど含まれておらず、飲みすぎると他の鉄分を多く含む食品の摂取が減少する。

鉄分不足になるとどうなる？

自覚症状としては、全身倦怠感、めまい、動悸、息切れ、耳鳴り、頭痛などが起きやすくなります。また幼児では、注意力散漫、易刺激性、落ち着きがない、認知能力や言語学習能力の低下などがみられることもあると言われています。軽度な症状と重度な症状についてみていきたいと思います。

軽度な症状

疲れやすい：活動量が多い子どもがすぐに疲れてしまう。
顔色が悪い：特に唇や爪の色が青白くなる。
食欲不振：食事をあまり摂らなくなる。
集中力の低下：学校や幼稚園での授業に集中できなくなる。

重度な症状

息切れや動悸：軽い運動でも息苦しくなる。
めまい・ふらつき：鉄分不足により脳への酸素供給が低下するため。
爪が割れやすくなる：鉄分不足で爪が脆くなる。
異食症（ピカ症）：氷や紙、土など食べ物ではないものを食べたくなる。

子どもに与える影響とは？

子どもの鉄不足は、成長や発達、学習能力、免疫力や行動や心理に影響を与える可能性があると言われています。さて具体的にどんな影響を与えるのでしょうか。

発育や成長への影響

鉄分が不足すると、体の細胞への酸素供給が不十分となり、成長に必要なエネルギーが不足します。特に脳の発達に影響を及ぼし、認知機能の低下を招くことがあると言われています。

学習能力への影響

鉄欠乏症の子どもは集中力が低下し、学校の成績にも影響を与える可能性があります。記憶力や理解力が低下し、学習意欲も失われがちになると言われています。

免疫力の低下

鉄は免疫機能にも関わっており、鉄不が不足すると感染症にかかりやすくなります。風邪やインフルエンザにかかる頻度が高くなると言われています。

鉄分不足を防ぐための食事とは？

鉄分不足を防ぐには、赤身の肉や魚、貝類、野菜、豆類、海藻類などの鉄分を多く含む食品を積極的に摂ることが大切と言われています。また、鉄の吸収を助けるビタミンCやタンパク質を一緒に摂取することでより効果的です。さて、鉄分不足を予防する食材にはどんなものがあるのでしょうか。

鉄分を多く含む食品

★ヘム鉄（吸収率が高い）
・赤身の肉（牛肉、豚肉、鶏肉）
・レバー（豚レバー、鶏レバー）
・魚（マグロ、カツオ、イワシ）

★非ヘム鉄（吸収率が低いがビタミンCで吸収促進）
・緑黄色野菜（ほうれん草、小松菜）
・豆類（大豆、納豆、レンズ豆）
・海藻（ひじき、わかめ）

鉄の吸収を助ける栄養素

・ビタミンC（柑橘類、ピーマン、いちご）
・タンパク質（肉、魚、大豆製品）
・発酵食品（納豆、味噌、ヨーグルト）

鉄分の吸収を妨げる食品

・カルシウムを多く含む食品（牛乳・チーズ）
・カフェインを含む飲み物（紅茶・コーヒー）

まとめ

子どもにとって、鉄分は成長と健康に不可欠な栄養素であり、多くの重要な役割を果たしています。適切な鉄分摂取は、貧血や免疫力低下、認知機能の低下などの健康リスクを軽減し、子どもの健康な成長と発達を支援するために重要です。保護者や教育者は、子どもの鉄分摂取に注意を払い、バランスの取れた食事や健康的な生活習慣を促すことが求められます。