会報誌

知識や豊かな感情を培うためには、回りの人からの学びとなる【つくし会コラム】

 

今回は、以前のコラムで幼少期のことを紹介した渋沢栄一が著した『論語と算盤』について取り上げたいと思います。本書は、儒教の教えと商業の実践を結びつけた内容が書かれていますが、幼い頃からの教育では、『常識』と良い『習慣』を身につけるべきだと論じられています。

常識については、以下のような記述があります。
『是非善悪を見別け、利害得失を識別し、言語挙動すべて中庸に適ふものがそれである、これを学理的に解釈すれば『智、情、意』の三者が各々権衡を保ち、平等に発達したものが完全の常識だらうと考へる(前後略)』

このことから、幼少期には、善悪の判断や利害損得を見分ける力を育み、知識(智)や豊かな感情(情)を身に付けることが重要と考えられます。そして、意志(意)を持って行動できるようになることが重要としています。

そして、習慣については次のように述べられています。
『習慣とは人の平生に於ける所作が重なりて一つの固有性となるものであるから、それが自ら心にも働きにも影響を及ぼし、(中略)遂には其人の人格にも関係して来るものである、故に何人も平素心して良習慣を養ふことは、人として世に処する上に大切なことであらう。』

人の一つ一つの所作が重なることで習慣が生まれ、その習慣というものは、人格にも影響するとしているのです。 当然ながら幼少期は、自ら学ぶことはできません。渋沢栄一の云う常識や良い習慣を身につけるには、保護者や周囲の人が良い生活習慣の中で、善悪の基準を伝えたり、物事の摂理を教えることが重要だと考えられます。

pcfooter画像
pcfooter画像